ルカの福音書1章5〜25節 39〜80節     青字が絵の説明 ゴシック体は聖書本文 タイトル『ザカリヤとエリサベツ』 @表紙:タイトル & 敬虔な感じのにこやかな老夫婦が二人。  ユダヤの国に、ザカリヤという名前の人がいました。  ザカリヤのお仕事は祭司です。神さまを礼拝する神殿で供え物をしたり、みんなを代表して神さまにお祈りをしたりする、とても大切なお仕事です。ザカリヤは、どんな時にも真面目で一生懸命に働くすばらしい人でした。  奥さんのエリサベツも、やっぱり神さまを信じる正しい人です。ザカリヤとエリサベツは救い主を送ってくださるという約束を信じて、神さまの教えに従う正しい生活を送っていました。  でも一つだけ、つらく悲しいことがありました。それは、二人には子どもがいなかったのです。子どもが生まれないまま、もうこんなに年をとってしまいました。 Aザカリヤが神殿に入って行くところ  後方で、ほかの祭司たちや人々が見送る感じ。  ある日のこと、ザカリヤは、神さまに特別なお祈りをささげることになりました。よい香りの香をたき、みんなの罪が赦されるようにお祈りする大切な役目です。だれがこのお祈りをするか、くじを引いたら、ザカリヤに当たったのです。それは祭司の中でも選ばれた人しかできないとても光栄な役目でした。  特別大切なお祈りなので、たくさんの人たちが集まりました。みんなは外でお祈りをしながら待つのです。みんなが見つめる中、ザカリヤは神殿の中へと入って行きました。 B神殿の中で、主の使いが現れ、ザカリヤと対峙している場面    ところが突然、大変なことが起こりました。香をたく祭壇の右側に神さまの御使いが現われたのです。びっくりしたザカリヤはとてもこわくなってしまいました。  御使いはザカリヤを見つめて静かに言いました。  「こわがることはありません、ザカリヤ。あなたのお祈りは聞かれました。   あなたの妻エリサベツは男の子を産みます。名前を“ヨハネ”とつけなさい。   あなたたちにも、みんなにも、その子はすばらしい喜びを与えてくれます。   その子は、とても大事なお仕事をする人になります。約束の救い主が来るために、準備をするのです。」 Cザカリヤが、御使いに向かって、そんなのあり得ない…という雰囲気で返答している    それはザカリヤにとって、とてもうれしい知らせのはずでした。でもザカリヤは、御使いのことばをすぐには信じることができませんでした。  「エリサベツが子どもを生むなんて、一体どうしてそんなことがありえるでしょうか?    とても無理だと思います。だって、私も妻もこんなに年をとっているのです。」  すると御使いが言いました。  「私は、神さまにお仕えするガブリエルです。あなたにこの良い知らせを伝えるために神さまから遣わされたのです。でもあなたは、神さまのことばを信じませんでした。だから、その子が生まれるまで、あなたは口がきけなくなり、話をすることができなくなります。私が伝えた神さまのことばは、必ずその通りになります。」 D待っている人々が心配な顔でひそひそ話している 向こうの神殿の入り口にザカリヤの姿が現れかけている  待っていたみんなは、お祈りがとっくに終わっているはずの時間になってもザカリヤがなかなか出てこないので、心配になってきました。  「どうしたんだろう? 何かあったのかな?」  「あ、やっと出てきた。」  「あれ、でもおかしいね。口を動かしているけど、何も聞こえないよ。声が出なくなっちゃったのかな?」  「口がきけなくなっちゃったんだ。神殿の中で何かあったんだよ。」  「きっと、何か幻を見たんだね。」  みんなは首をひねりながら帰って行きました。ザカリヤも家に帰りました。 Eお腹が大きくなったエリサベツをマリアが訪問している  しばらくすると、エリサベツのお腹にほんとうに赤ちゃんが宿りました。神さまが御使いを通してザカリヤに知らせてくれた通りになったのです。  エリサベツのお腹が少し目立ってきたころ、親戚の若い娘マリアが訪ねてきました。マリアは救い主イエスさまのお母さんになることを、御使いに知らされたばかりです。  マリアにとってもエリサベツにとっても、いっしょに過ごす時間はとてもすばらしい時になりました。エリサベツのお腹がほんとうに大きくなっているのを見たことは、マリアにとってとても心強いことでした。救い主のお母さんに選ばれたマリアに会うことは、エリサベツにとってとてもうれしいことでした。大きなお仕事を神さまからゆだねられた二人は、神さまをいっしょにほめたたえて、励まし合いました。 Fエリサベツが、うれしそうに赤ちゃんを抱いている それをうれしそうにながめる人々がまわりを取り囲んでいる    次の年、エリサベツに生まれた赤ちゃんは、御使いが言ったとおりに男の子でした。  エリサベツは「神さまは、私たちのことをちゃんと覚えていてくださいました。本当に恵み深く、信じる人にごほうびをくださる、すばらしいお方です!」と言って喜びました。  近所の人たちや親戚の人たちも、「ほんとうによかったね。」「神さまはちゃんと見ておられるんだね。」と言って、いっしょにとても喜びました。 G名前はヨハネと書いた書き板を持って、ザカリヤが神さまをほめたたえている  奥にヨハネを抱いたエリサベツと人々  赤ちゃんに名前をつける日になりました。  「お父さんがザカリヤだから、この子の名前もザカリヤですよね?」  集まってきた人たちが言いましたが、エリサベツは答えました。  「いいえ、この子はヨハネという名前にしなければなりません。」  「ヨハネ? そんな名前の人はあなたの家族にはいませんよ?」  「ここはやはり、ザカリヤに聞いてみましょう。ザカリヤ、どうしますか?」  するとザカリヤは口がきけないので、字を書く板に「この子の名前はヨハネ」と書きました。そのとたんにザカリヤは口がきけるようになって、神さまをほめたたえ始めました。このことを聞いた人たちもみんな、驚きながらも神さまをほめたたえました。  赤ちゃんはすくすくと大きくなって、やがて御使いが言ったとおり、救い主イエスさまをお迎えするための準備をする人になります。イエスさまのお誕生も、もうすぐです。