ルカの福音書1章26節〜       青字が絵の説明 ゴシック体は聖書本文 タイトル『マリアとヨセフ』 @タイトル マリアが幸せそうな様子で真ん中にいる。  ガリラヤのナザレという町に、一人の若い女の人がいました。名前はマリアです。  マリアは神さまを信じる、心のきれいな人でした。  なんだかとてもうれしそうですね。それもそのはず。マリアは、もうすぐ結婚することになっているのです。  結婚する相手は大工のヨセフ。ヨセフも神さまを信じるとてもよい人です。  「神さまが、ヨセフという同じ神さまを信じる結婚相手を与えてくださって、ほんとうにうれしいわ。   ヨセフはやさしくて、すてきな人だから、力を合わせれば、きっと明るくて素敵な家庭を作れるでしょう。   私もヨセフにふさわしいお嫁さんになれるように、しっかり準備をしていかなくてはね。」 Aマリアのもとに御使いガブリエルが現れる とても困惑しているマリアに御使いが受胎告知する。  そんなマリアのところにある日突然、御使いが現れて言いました。  「おめでとう、恵まれた方。神さまはあなたとともにおられます。」  一体何のことかわからずびっくりしているマリアに、御使いは続けて言いました。  「こわがることはありません。あなたは神さまの恵みを受けました。   あなたはみごもって、男の子を産みます。名前はイエスとつけなさい。   その子は、神さまが約束していた救い主です。」 B驚きながらも、何とか受け入れようと、御使いに疑問を正直に投げかけるマリア。     マリアは一生懸命考えながら、御使いに聞きました。  「私が子どもを生むなんて、どうしてそんなことが起こるのでしょう? 私はまだ結婚していません。   それに、生まれる子は約束の救い主だなんて、そんなことがあるのでしょうか。」  「それは、神さまの力があなたにのぞむからです。   あなたは何も心配しなくてだいじょうぶ。すべては神さまがなさるのです。   神さまには、できないことは何もないのですよ。」  「わかりました。私は主のはしためです。神さまが言われるならお受けします。   どうぞ神さまがおっしゃるおことばどおりになりますように。」  その言葉を聞いた御使いは満足そうに微笑みました。そして帰って行きました。           Cマリアがヨセフを訪ね、身ごもったことを伝えている場面。  マリアがヨセフのもとを訪れて受胎告知の出来事を話している。  やがてマリアのお腹には、御使いの言ったとおり、赤ちゃんが宿りました。だんだんお腹も大きくなり始めました。いつまでも秘密にしていることはできません。マリアはヨセフのところに行って、何も隠さずに全部を話しました。  御使いが現れて、結婚しないうちに子どもを生むと告げられたこと。  言われたとおり、今自分のお腹には赤ちゃんがいること。でもそれは神さまがなさったことで、自分はヨセフを裏切るようなことは何もしていないこと。やがて生まれてくるその赤ちゃんは、約束の救い主であること…。  マリアはいっしょうけんめいに話しました。ヨセフは何も言わずに聞いていました。言わなかったというより、言えなかったのです。ただただ何もかもが驚くことばかりだったからです。 Dマリアが帰ったあと、ヨセフが困惑し、悩んでいる場面。  婚約中の妊娠が大罪であること、石打になることなどを考えて、ヨセフが悶々と悩んでいる。    自分がマリアの言うことを信じるかどうかだけではありません。その頃、結婚をしないうちに子どもが生まれることは、とても大きな罪で、そんなことをした人は死刑と決まっていたのです。  このままではマリアが人々の前に引き出されて、ひどいことを言われ、悪者にされ、みんなから石打ちにされてしまうかもしれません。  「どうすればいいんだ?」ヨセフは悩みました。  ヨセフはマリアのことをとても大切に思っていました。マリアがそんな目にあうのは、とても耐えられません。  「そうだ、いっそのこと、結婚を取りやめにして、マリアにはどこかだれも知らない遠くで、ひそかに子どもを生んでもらったらどうだろう…?」 Eヨセフが眠っているところに御使いが現れる場面。    そんなことをあれやこれやいろいろ考えながら過ごしていたある日のこと、ヨセフは夢を見ました。夢の中に御使いが現れて、言いました。  「ダビデの子ヨセフ、何も恐れずにマリアをあなたの妻に迎えなさい。   マリアのお腹に宿っている子は、神さまが宿らせた神さまの子どもです。   マリアは男の子を産みます。名前はイエスとつけなさい。   その子は、すべての人を罪から救う救い主なのです。」  目が覚めてみると、それは夢でした。でも夢の中で聞いた御使いの言葉は、しっかり覚えていました。 Fヨセフが目覚めてマリアの家に行き、手を取り合っている場面。  次の日の朝、ヨセフは急いでマリアの家に行きました。そして自分にも夢の中で御使いが現れて、話してくれたことをマリアに伝えました。  「ぼくはずっと悩んでいたけど、御使いの話を聞いて、はっきりわかったよ。お腹にいる子どもは、神さまの子なんだね。   神さまは、約束の救い主のお父さん、お母さんになるように、ぼくたちを選んでくださった。それはほんとうにすばらしいことなんだ。   これからいろいろ大変なことがあるかもしれない。でもぼくは、必ずマリアと赤ちゃんを守っていくよ。どんなことがあっても、神さまがきっと守ってくださる。いっしょにがんばろう!」  「ありがとう、ヨセフ! 二人で神さまを信じていけば、きっとだいじょうぶよね。」 Gマリアがエリサベツの家を訪れ、二人が嬉しそうに対話している場面。  マリアは、親類のエリサベツの家に出かけていきました。  マリアの挨拶を聞いたとき、お腹にいる子どもが喜んだのがわかって、エリサベツもとてもうれしくなりました。  「あなたは、女の人の中でいちばんすばらしい神さまの祝福を受けた方ですね。   あなたのお腹にいる赤ちゃんも、祝福されています。救い主のお母さんになる人に会えるなんて、私もとってもうれしいわ。私のお腹にいる赤ちゃんも、あなたの声を聞いたら、ぽこぽこ元気に動いたから、きっととてもうれしいのね。神さまって、なんてすばらしいことをしてくださるんでしょう!   神さまが言われたことは必ずその通りになるって信じる人は、ほんとうに幸いですね。」  マリアは、いっしょに神さまの恵みを感謝しながら、三か月くらいエリサベツの家で過ごしました。  イエスさまがお生まれになる準備は、着々と整っています。